
世界は今、急激なスピードで変化が起き続けています。新型コロナウイルス感染癥の問題はもとより、風水害や大地震といった災害も頻発し、気候変動の問題もより深刻化しております。まさに現在は「VUCAの時代」と表現される通り、激動(Volatility)であり、不確実(Uncertainty)で、それらが複雑(Complexity)に絡み合っており、しかも曖昧(Ambiguity)という狀態です。先行きが見通せないこのような時代だからこそ大切なことは、私たちはどうしたいのか、人間としてどう生きるのかという「意志力」なのではないでしょうか。
私は、誰一人取り殘すことなく、すべての人類?地球を含めたすべての生命體が調和し、発展して幸福を実現する社會を目指すべきであると考えております?!窫mpower all Life -一人一人が光り輝く社會-」これは、私たちコマニーグループが2030年の実現を目指したムーンショットです。創業の時より脈々と受け継いできた創業者の精神と理念、そして間仕切りメーカーとして數多くの空間を紡いできた経験を礎として、今こそ私たちは間づくりカンパニーになる、「間づくり」で「Empower all Life -一人一人が光り輝く社會-」を実現するという新たな旅に出ようとしているのです。
創立60 周年に紐解く歩みと「間づくり」
コマニーのはじまりは、キャビネットメーカーとして誕生した1961年にさかのぼります。創業者である塚本信吉は、キャビネット事業から間仕切専業メーカーへの大転換、創業ほどなくして訪れた操業停止の危機など、様々な苦労を味わいました。そんな中で経営を行う上で本當に大切なことは「(金銭ではなく)心である」という結論に思い至ります。こうして、人の心をベースとした人間性尊重の経営をするための5つの社是が昭和43年に制定されました。
<創業當時の5つの社是>
一、我等の精神は人道と友愛である
一、 我等の生活は共存共栄の中に成り立つべきである
一、我等の使命は社會に貢獻すべきである
一、 我等は知識を高め技術を磨き絶えず前進すべきである
一、 我等は余暇を楽しみより豊かで幸福な人生を送るべきである
コマニーはおかげさまで今年60周年を迎えることができましたが、半世紀以上を経た今であっても創業の理念は色あせることなく、むしろ今の時代にこそ必要な考え方であると実感しています。數多くのお客様や協力企業の皆様に支えられ、理念をベースに一途に間仕切事業を追求してきた60年間は私たちにとってかけがえのない時間でした。この60年間で生産してきた間仕切のパネル枚數を距離に換算すると、なんと地球から月に屆いてしまうほど。多くの空間に採用され様々な快適?機能空間を創造する一翼を擔ってこられたのは私たちの誇りです。
私たちが創業以來探究し続けてきたのは、「間仕切りとは何か?」ということでした?!搁gを仕切る」という言葉を聞くと、一般的には空間を二つに分割することをイメージしがちです。一方で、よく似た言葉に「場を仕切る」という言葉がありますが、この言葉を聞いたときに「場を二つに分斷することだ」と想像する人はいるでしょうか。むしろそれとは逆で、場をまとめることや整えること、さらには場をつくり上げることをイメージされると思います。このように考えると、「間を仕切る」という言葉の真意も、分割することではなく、間を整えること、つくり上げることであると考えられるのではないでしょうか。間仕切りとは「間」により良い価値を與えること。つまり、私たちの問い続けてきた「間仕切りとは何か?」とはすなわち、「すぐれた『間』とは何か?」ということだったのです。
私たちが60年という壯大な歴史の中で歩んできたもの、そしてこれからもコマニーグループが果たすべき使命、それが「間づくり」なのです。
ムーンショット「Empower all L ife」
「間づくり」を通じて目指す姿は、「Empower allLife-一人一人が光り輝く社會-」の実現です。これは「企業は世の中の幸福に貢獻するために存在すべきである」という信念のもとに掲げる使命「すべての人が光り輝く人生を送るために、より良く働き、より良く學び、より良く生きるための持続可能な環境づくり、人づくりに貢獻する」ということそのものです。
人はそれぞれが持つ強みや個性、また生まれ育った環境などが違います。これらの違いを互いに認め合い、それぞれの個性を活かし合って相乗効果を生み出し、一人一人が光り輝くことができることこそ、本當に求めるべき幸福ではないでしょうか。
人が自分らしく生き、光り輝くためには、自分らしくあることに対する不安を感じる必要がない安心と安全の確保が必要です。その上で、自分の良心や志に素直に生き、可能性を切りひらくための挑戦ができる環境が整っていることが大切であり、「間づくり」を通してそれらを実現できる環境づくり、人づくりに貢獻していきたい、というのが私たちの強い想いです。
たとえVUCAの時代と言われようとも、未來は私たちの手でつかむことに変わりはありません。経済?社會?環境との調和の中でさらなる発展を目指し、あらゆる動植物や地球生命體を含むすべての生命との共存共栄を実現していく、多くの人がそんな素晴らしい世界に目覚め幸福を実感できる世界を追求し続けます。

価値創造領域と価値創造ストーリー
私が事業活動を考える上で大切にしていることは、「未來は予測するものではなく、自らの手で創り出すものである」ということです?,F狀をしっかりとらえた上で、「私たちはどうしたいのか」という強い意志を持ち、それをもとに事業を展開しております。
私たちはこの激動の時代において、60年間築いてきた顧客基盤と技術を発展させ、より強固な基盤を築くとともに、一方でそれにとらわれない新たな「間づくり」の可能性を探索することを通じて、新たな価値創造にも挑戦していきます。
具體的な事業活動に展開するために我々が特に取り組むべき課題としたのは「自立分散型社會の実現」「多様性尊重による“らしさ”の発揮」「技術革新による新たな価値創造」「持続可能な地球環境づくり」の4分野です。そしてこれらの社會課題に基づき、地球規模から一人一人の意識領域までを空間スケールとして捉え、「地球環境づくり」「まちづくり」「場づくり」「人づくり」という価値創造領域を定めました。これらに対して、持続可能な環境づくり、人づくりに貢獻すべき事業に取り組み、その空間を利用する人がより自分らしく光り輝くことに貢獻することを通じてEmpower all Lifeの実現を目指します。
また、これらの実現のための価値創造モデルとして、「コマニーSDGs∞(メビウス)モデル」に沿って活動を展開することを継続していきます。この∞モデルは、右側はプロダクト?サービスを通じていかに世の中に貢獻するかを表し、左側はステークホルダーの皆様の幸福にいかに貢獻するかを表しています。私たちの信念である「関わるすべての人の幸福に貢獻する経営」を目指し、∞モデルを持続的に循環することを通じて、地球環境との調和のもと、お客様、サプライヤーなどのお取引先様、従業員、地域社會、株主?投資家の皆様へのより大きな幸福を実現してまいります。
1 億人のWell-being の向上を目指して
私たちはEmpower all Life実現の指標として、価値創造モデルであるコマニーSDGs∞(メビウス)モデルを通じて「1億人のWell-beingの向上」を目指します。
実現のためのアプローチとして、まずは既存の商品に社會課題解決に資するソリューションを付加し、人々の幸福に貢獻します。例えば、「高耐震間仕切シンクロン」による震災リスクを軽減することで、より安心?安全の空間づくりを実現します。それによって精神的な安全性を確保し、そこに生きる人のWell-beingの向上につなげていきます。また、ユニバーサルデザイントイレブース「Dear-d」や「やさしいドア」シリーズなど、健常者や障害者の方などが分け隔てなく、利用するすべての人がストレスなく使用できる商品の展開などを通じてWell-beingの向上につなげていきます。さらに、昨今浸透している多様な働き方を実現するために、いつでもどこでも「個」で働くことができ、その価値を向上させ生産性の高い空間を創造するワークブース「Remote Cabin」や、適度な集中と発散が共存できる場を創造する「KOUSHI」などによるワーカーのストレス軽減や新たなイノベーション創出につながる空間を創造することでWell-beingの向上につなげていきます。
これに加えて、既存の間仕切事業によるアプローチだけでなく、社會課題解決に貢獻するための「間づくり」による新規事業の創出、企業活動における間接的なインパクトやステークホルダーとの共存共栄などを通じて、さらに多くの人のWell-beingの向上を図ります。
地球環境との共存
「1億人のWell-being向上」によるEmpower all Lifeの実現の取り組みは、地球環境との共存を大前提に推進してまいります。私たちは2040年にはネットゼロを目指し、2030 年には「50%の環境負荷削減」を掲げ、脫炭素社會への取り組みを推進しています。具體的には「Scope1+2におけるCO2 排出量(単體)を2030 年までに2018 年度比で50%削減」「再エネ比率(単體)を2030 年までに50%、2040年までに100%」に向けて取り組んでいきます。
さらに、循環型社會への取り組みとして、社內エコ基準を満たすエコ商品の開発を進め、2030 年にはエコ商品比率100%を目指しています。また、生産方法や梱包方法等を見直すことでリサイクル率の向上や産業廃棄物排出量の削減、使い捨てプラスチックの使用削減にも取り組んでいます。
ダイバーシティ& インクルージョン
一人一人が光り輝く社會の実現には、大量生産によって誰かが取り殘される社會ではなく、多様なすべての人が自分らしく光り輝ける包摂的な社會をつくり上げなければなりません。私たちの事業活動においても、多様なニーズにお応えできるためのイノベーションを連続的に生み出していくことが必須課題となります。そのためには、お互いの違いを尊重し、多様な考え方を認め合い活かし合うダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)の推進が必要不可欠です。私たちはこのD&Iが事業活動における成長戦略の中心軸をなすものとして位置づけ、推進しております。
私たちは、2019年にサステナビリティ経営推進委員會、D&I 推進分科會を同時に立ち上げ、定期的な施策の決定と実施フォローを進めながら、社內のD&I 研修の開催などによる周知活動を進め、経営幹部も含めた全社員でD&Iの実現に取り組んでおります。今後はさらにその取り組みを加速させ、2030年にはジェンダーギャップを始めとするさまざまな壁をなくし、女性従業員比率30%以上、女性管理職比率20%以上の目標などを達成することで、すべての人が自分らしさを尊重される社會や會社づくりを目指してまいります。

2030 年へのムーンショット実現を目指して
私には信じていることがあります。それは、人間の本質的な喜びは良心に正直に生きることだということです。人には必ず良心があります。その良心を常に磨き、人にやさしく、思いやりを持って世の中の役に立つために懸命に努めることは、人間の本質的な喜びに直結していると思うのです。一度しかない人生を、生まれてきたからには少しでも多くの人の役に立ち、世の中に貢獻することこそが人間の生まれ持った使命ではないでしょうか。そのために、人が生まれ持った強みや個性をお互いに認め、活かし合い、力づけることのできる本當の幸福を実現したいと考えています。
私たちの使命である「すべての人が光り輝く人生を送る」ことは、SDGs が目指す「より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求する」ことと一致していると考えており、當社の価値創造モデルである「コマニーSDGs∞モデル」にあるように、すべてのステークホルダーの皆様との積極的な対話を大切にしながら
具體的な計畫と目標を設定し、著実に実施してまいります。これに加え、國連グローバル?コンパクトの4分
野10原則にあります「人権?労働?環境?腐敗防止」に積極的に取り組むことは、企業が果たすべき社會的責任であると同時にイノベーションの可能性であると捉え、私たちは國連グローバル?コンパクトに署名し、10原則の実現を推進してまいります。
普遍的な価値観である人道と友愛の精神を胸に、「Empower all Life」を実現させるために、変えるべきことは大膽に変化させ新たなことに挑戦し、世の中になくてはならない企業であり続けられるよう邁進してまいります。
「間づくりでEmpower all Lifeを実現する」というコマニーの旅は、今始まったばかりです。